データ復旧率について

データ復旧会社のホームページを見るとデータ復旧率が大きく掲げられている事が多くあります(私も部分的にそのような表記を使うことがあります)。データ復旧率の計算はその会社それぞれだと思いますので何の母数に対する成功率なのか様々な見解があると思います。

実際HDDのヘッド交換を行った場合、ヘッドの交換が成功したとしてもプラッタ盤面に傷や読み取り不良個所が多数あり必要なデータの取り出しにたどり着けないケースは意外と多く、弊社の場合だとヘッド交換が必要なケースでお客様の必要とするデータの取り出し実績は全体の60%程度です。これは仮に一部データが読み取れたとしてもお客様の必要なデータを回収する事が出来なかった場合、成功と見なしていません。

またSDカード等の解析に関しても回路図があるSDカードやモノリスタイプの記憶媒体はスパイダーボードを用いてデータの復旧が可能な場合もありますが、回路図がない場合はX-ray診断(レントゲン診断)を行って回路を追う作業が必要になり、現在多くのモノリスが枚数の多い複層構造になっておりX-Rayでも追えないケースが散見されます。実際にX-ray診断を行って解析が上手くいくケースは20~30%程度になります。

ヘッド交換やモノリスタイプのSDカードの解析だけ見ても重症のケースの復旧率は意外と低いと感じられたのではないでしょうか?しかしその他重症と言われる障害でも過去に復旧実績があり対処が確立されたケースは高い復旧率でデータを回収する事が可能なのも事実です。

ひとくくりで「重度障害」といっても、非常に様々なケースがある事を知っていただけたら幸いです。

それほど重症ではないケースだけを取り扱い復旧率をカウントすれば95%以上という復旧率の表記はできるかもしれませんが困難な作業(ヘッド交換や水没など)を受け付けるほど復旧率が下がるのは自然な事と言えるでしょう。

これからデータ復旧をどこかの会社へ依頼される場合、まずこれから復旧しようと思っているHDDやSSD、USBメモリなどがどの様な障害なのか知ることからスタートする事をお勧めします。いきなり電話などでデータ復旧会社に依頼されるのではなく、現在どの様な障害なのか少しでも詳細に知ることでデータ復旧にかかる費用を抑えることができるかもしれません。軽度の障害なのに重度の障害として受け付けられて高額の請求を支払う事の無いようお客様自身がこれからデータ復旧する媒体の障害状況を知ることから始めてみましょう。

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